No.2636
【浮月堂 JAZZ名盤紹介】
幻のアランフェス協奏曲に涙
MJQ ウィズ ローリンド・アルメイダ
「コラボレーション」
梅田の今はなきライブハウス・バナナホールの横に「M」というジャズ専門のレコード屋があった。オーナーのMさんは名店ワルツ堂の元スタッフで独立してレコード屋を始めた。おれの3歳年上でジャズの先輩だ。優しくて温厚で、有名な日本のジャズプレイヤーもMさんの店によく顔を出していた。
どこの中古レコード屋を探し回っても見つからない希少なMJQとローリンド・アルメイダの共演盤「コラボレーション」をMさんに探して貰うことお願いしたんだ。
MJQ(モダンジャズカルテット)はそれ自体がパーフェクトなカルテットであり、ジャズによくあるセッションは超一流アーティストに限られていた。本盤はジャズやクラシックでも有名なブラジリアンギタリストのローリンド・アルメイダとの共演盤で、おれが唯一持ってなかったMJQのセッションアルバムだった。収録曲の「アランフェス協奏曲」はジム・ホール、マイルス・デイヴィスのものと並ぶ素晴らしさである。
本盤を探してもらえませんか、と依頼してから1ヶ月後にMさんは急逝してしまった。それから11年経ち、アマゾンで中古CDが1500円で販売されていた。Mさんにお願いしたままの幻のアルバムはこうして入手したわけだ。MJQとローリンド・アルメイダの「アランフェス協奏曲」を聴きながら思い出すのはMさんの笑顔と「おっ、原田さん久しぶりやねえ」という温かい言葉だ。
【アランフェス協奏曲】
https://youtu.be/Q8guBy3g-v4
【マイルス・デイヴィス版】
https://youtu.be/X_YgL78s2dQ