浮月堂黄昏抄

風流候・原田浮月堂の花鳥風月な日々

「さらば、荒野」

No.3995
【今日の1冊】
「さらば、荒野」

北方謙三の名作「さらば、荒野」を41年ぶりに読んでみる。昔に読んだ時は、「さらば、荒野」は単発小説だと思っていたが、〈ブラディドールシリーズ〉として、続巻18冊も続くとは思わなかった。

港町N市にある酒場「ブラディ・ドール」。店のオーナー川中良一の元に、市長の稲村からある提案が持ちかけられた。その直後、弟の新司が行方不明になっていることを知った川中は、手掛かりを掴むために動き出す。新司は勤務先から機密事項を持ち出し、女と失踪している事が判明した。いったい弟は何を持ち出したのか。そして黒幕は誰か。ハードボイルド小説の最高峰がここに甦る。シリーズ第1弾。

北方謙三初期の名作「弔鐘はるかなり」「眠りなき夜」「檻」と同様に、「さらば、荒野」も魅了される。特にバーテンダーの藤木がいい。訳ありの過去を持ち、冷静沈着なキャラクターは主人公の川中とは真逆だがいいんだ。続巻に期待したい。