浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「弔鐘はるかなり」

No.3286
【今日の1冊】
御大の鮮烈なデビュー作
「弔鐘はるかなり」

高校生の頃に読んで、強烈な印象と、おれ自身のその後の人生の矜持の基本にもなった北方謙三の「弔鐘はるかなり」を再読してみた。同作は北方謙三のデビュー作だ。

高崎隆之介が横浜(ハマ)に戻ってきた。4年前の不可解な事件で刑事の職を追われ、現在は輸入会社を経営する梶礼二郎。その事件の鍵を握るのが高崎だ。高崎を追う梶。警察と覚醒剤をめぐっての暴力団同士の抗争が複雑に絡みあう。限りない硝煙と血の匂いの中、梶の復讐が始まった。ハードボイルド小説の担い手、北方謙三のデビュー作。

42年ぶりに再読して、やはり北方謙三はいいよなあ、と感じた。その後の作品のような、衝撃的な短文構成はないものの、北方ハードボイルドの原型となるものに違いない。北方謙三作品は意外に映画化・ドラマ化が少ないのだが、「弔鐘はるかなり」は、天知茂主演で映画化して欲しかった。
★★★★★