No.2963
【今日の1冊】
風俗小説の魅力とは何か
「黒い太陽」
おれが40代に読んで一番面白かった小説は新藤冬樹の「黒い太陽」だ。これは凄い小説だ。
キャバクラ「ミントキャンディ」の黒服・立花篤は父の入院費を稼ぐため、嫌悪する水商売に身を投じた。救いは密かに想いを寄せるNO.1ホステスの千鶴。勝ち気な立花は「風俗王」の異名をとる藤堂社長に見込まれ、さらに歳の近い若きホール長・長瀬の凄腕に刺激を受けて、この世界の魅力に取り憑かれる。その後、篤は藤堂社長から最年少ホール長に抜擢されるも失意のうちに退店する。しかし篤は王座を奪うべく渋谷に新店をオープンする。だが直後、藤堂の放ったライバル長瀬の店が目の前にオープンするのだが。
同じく40代に読んだ、クラブのホステスをテーマにした劇画「女帝」も最高に良かった。「黒い太陽」の篤も「女帝」の立花彩香も、元々は風俗業界も水商売も好きではなかったのに、その魅力に取りつかれ、No.1を目指すところが面白い理由ではあるまいか。