浮月堂黄昏抄

風流候・原田浮月堂の花鳥風月な日々

「ジャッジメント」

No.4105
【今日の読書】
ジャッジメント

自分の家族や愛しい人が殺された時、自分ならどうするか。加害者を殺したいと思うか、司法に委ねるか。それをテーマにした小林由香「ジャッジメント」を読む。

大切な人を殺された者は言う。「犯罪者に復讐してやりたい」と。凶悪な事件が起きると人々は言う。「被害者と同じ目に遭わせてやりたい」と。20××年、凶悪な犯罪が増加する一方の日本で、新しい法律が生まれた。それが「復讐法」だ。目には目を歯には歯を。この法律は果たして被害者たちを救えるのだろうか。復讐とは何かを問いかける衝撃のデビュー作!

気が滅入るテーマの小説だったが興味深かった。被害者の親族が加害者に復讐するわけだが、やはり自分も殺人者になった感覚に陥るか否か。しかし、今の司法は1人殺して有期刑か無期刑、2人殺してようやく死刑になる。被害者親族にすれば復讐したいと思うのは当然だろう。古代バビロニアハンムラビ法典にあるように、やはり〈眼には眼を、歯には歯を〉でなければ犯罪はなくならない。死刑廃止論はやはり他人事だよ。