浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「いつかの人質」

No.3393
【今日の1冊】
感情移入しにくい小説
「いつかの人質」

いかんなあ。最近は1日1冊のベースでKindleのハードカバー本を読んでいるので、有料無料作品を含めても1ヶ月3万円ぐらい支払っている。やはり読みたい本は500~1500円ぐらいしても読んでしまう。芦沢央「いつかの人質」も有料だが読んでしまった。

宮下愛子は幼い頃、ショッピングモールで母親が目を離した僅かな隙なに連れ去られる。それは偶発的に起きた事件だったが、両親の元に戻ってきた愛子は失明していた。12年後、彼女は再び何者かによって誘拐される。一体誰が何の目的で? 一方、人気漫画家の江間礼遠は突然失踪した妻・優奈の行方を必死に探していた。優奈は12年前に起きた事件の加害者の娘だった。長い歳月を経て再び起きた、被害者と加害者の事件。偶然か、それとも2度目の誘拐に優奈は関わっているのか。急展開する圧巻のラスト35ページ!

さすがに芦沢央の作品は面白い。全体のテーマは〈過保護〉なのかも知れない。しかしこの作品は主人公のひとり宮下愛子以外に感情移入できないし、なんか自分勝手な人たちの暴走にしか思えない。名作「悪いものが、来ませんように」みたいに登場人物に感情移入できないと少し読みにくい部分をおれは感じた。あくまでおれの私見なのだが。
★★★☆☆