浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「あの日、君は何をした」

No.3254
【今日の1冊】
母親の溺愛とサイコロジー
「あの日、君は何をした」

このところ、ほぼ毎日ミステリーばかり読んでいる。1日1冊のペースだから、なかなか忙しい。今回は、まさきとしか「あの日、君は何をした」を読んでみた。

北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか。15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになるのだが。

過去の事件と現代の事件、一見脈絡のないと思われるものが繋がるという構成はミステリーでは多々ある。「あの日、君は何をした」もそんな設定なんだが、湊かなえ「告白」同様に強引に思える。刑事三ツ矢がその繋がりに気付くのも、ちょっと力業じゃないのかな。ラストで、事故死した大樹があの深夜何をしようとしていたかが明らかになる。読者レビューでは「そうきましたか!」的な感想が多いが、普通に考えて、まああり得ませんわ。母親のいづみと智恵と瑶子、辰彦・野々子夫婦、大樹の父親の克夫、そして大樹。登場人物の誰にも感情移入できませんでした、おれは。
★★☆☆☆