浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「掲載禁止 撮影現場」

No.3394
【今日の1冊】
長江作品らしくない
「掲載禁止 撮影現場」

フェイクドキュメンタリー「放送禁止」や、著作「出版禁止」「掲載禁止」で知られる長江俊和の最新作品「掲載禁止 撮影現場」が発売されたので読んで見た。読了時間2時間だった。

不気味な廃墟で言い合いをする2人の男の衝撃的結末「例の支店」、自分が犯人だと自首してきた男と、問い詰める側の間で進行する奇妙な議論「哲学的ゾンビの殺人」、カリスマ映画監督の作品に出演した役者が見た、とんでもない光景「撮影現場」、仕掛けが冴える著者の真骨頂特別書下ろし「カガヤワタルの恋人」。その他「ルレの風に吹かれて」「この閉塞感漂う世界で起きた」「イップスの殺し屋」「リヨンとリヲン」など、怖いのに読むのが止められない全8編。

今までの長江作品が最高だったのでかなり期待して読んだのだが、今までの「出版禁止」や「掲載禁止」みたいな驚きはなかった。唯一「カガヤワタルの恋人」は良かったのだけれど、他の作品は途中でネタがわかってしまったし、今までにない海外を舞台にした「ルレの風に吹かれて」や「リヨンとリヲン」はどこか長江作品ではないように感じた。前作が良かっただけに、本作品は少し残念に思える。あくまでおれの私見なんで、読む人にとっては評価は違うかも知れませんが。
★★☆☆☆