No.3870(再)
【今日の1冊】
「方丈記」
高校生の頃に読んだ鴨長明(かものちょうめい)の古典文学「方丈記」は、未だにおれの愛読書だ。
方丈記は、鴨長明が書いた随筆文学だ。400字詰原稿用紙25枚程度の短編で、枕草子・徒然草と並んで日本古典文学の三大随筆に挙げられている。鴨長明は、元々は下鴨神社の神官の生まれであり、かつ歌人として当時活躍していた。しかし出世の道が断たれたことなどをきっかけに出家、世間から離れて日野(京都郊外)に引きこもり、隠遁生活を送る。その日野の方丈の庵、即ち 1 丈四方 (5.5畳) 程度の侘しい住まいの中で執筆されたのが方丈記である。方丈記に一貫して流れているのは「無常観」の思想であり、実際に起こった大火事・地震・飢饉などを生々しく描写し、人の命や人生や社会の儚さ、不安定さを説き、その苦悩を訴えている。
鴨長明の隠遁生活(世捨て人)になんとなく憧れた。
最低限の生活用具だけを持ち、すぐに移動できる庵の生活は元祖スローライフであり、ソローの名著「森の生活」にも共通している。
鎌倉時代に書かれた「方丈記」は現在も注目されている。