浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「罪火」

No.3408
【今日の1冊】
修復的司法は是か否か
「罪火」

大門剛明「罪火」を読んでみた。大門剛明という作家は全く知らなかった。初めて聞く名前だ。簡単なあらすじだけを読み、アマゾンのレビューは一切読まなかった。

レトルト食品工場に勤める若宮は鬱屈を感じていた。花火大会の夜、少女・花歩を殺めてしまう。花歩は小学校の校長を務める母・理絵と共に、被害者が加害者と向き合う修復的司法に携わり、犯罪被害者支援に関わっていた。13歳の娘を殺された理絵のもとに、犯人逮捕の知らせがもたらされる。しかし容疑者の供述内容を知った理絵は真犯人は別にいると確信。かつて理絵の教え子であった若宮は、殺人を告白しようとするが。驚愕のラスト。

修復的司法は難しい問題だと思う。それが果たして被害者の慰めになるのかどうかだが。理絵はその活動に従事しながら、娘を実際に殺された時に修復的司法が正しいのか悩む。
「罪火」はラストで意外な真相が明らかになるのだが救いがない。救いがあるような結末だが、実際には救いはない。少し複雑な気分でした。
★★★☆☆