浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「死刑台の微笑」

No.3439
【今日の1冊】
骨太の法曹小説だが
「死刑台の微笑」

久々に麻野涼を読む。最近読むことの多い未成年犯罪と、それを護る少年法についてのミステリーだ。読了時間は5時間。

3人の少年によって、ひとり娘を惨殺された母親は、娘の無念と悲しみを晴らすため、会社を辞して、地裁での意見陳述に全てを賭けた。地裁で裁判を傍聴し続けた母親は、娘を殺害した3人の凶行を知るにつけ、憎悪を増した。死刑判決を望む被害者の母に立ちはだかる少年法。判決を有利へと導く加害者の弁護士たち。少年審判を抉る問題小説。

重いテーマなので読むのに疲れた。被害者の母親が素人ながら、3人の加害者の過去や経歴を丹念に調べていく。加害者に同情できる部分も浮かび上がるのだが、母親は一切妥協せずに怒りを変えないところがいい。淡々とした法曹小説と思っていたのだが、ラストに仕掛けがあることに驚いた。加害者の人権なんて本当に無意味だ。未成年の加害者の将来を提唱する日本から犯罪はなくならない。
★★★★☆