浮月堂黄昏抄

風流候・原田浮月堂の花鳥風月な日々

「されど時は過ぎゆく」

No.4084
【今日の読書】
「されど時は過ぎゆく」

ついに北方謙三の「約束の街シリーズ」と「ブラディドールシリーズ」のミックス本の最終第18巻「されど時は過ぎゆく」を読む。1日で読み終えた。

この街の権力者・久納義正の元に一本の連絡が入った。その相手は亡くなった戦友の息子、野本精一だった。野本は金の無心をした上に、ブラディ・ドールのオーナー・川中良一に命を狙われているという。今は亡き戦友の息子を守るべく久納は「ソルティ」と呼ばれる若月真一郎に野本を守るよう命じる。絶望、愛憎、欲望。様々な想いが交錯する中、ハードボイルド小説の最高峰がついに終焉の時を迎える。シリーズ第十八弾。

権利者であっても、川中たちと共通の信念を持つ久納義正が、ひとりの男のために敵味方になる。しかしその男は最低最悪の屑だった。

最終巻は久納義正の一人称だが、なぜか途中で燻製の話やジャズの話になり、まるで脱線した感があった。川中と久納の対決も非常につまらない意地の張り合いにしか感じなかった。沢村明敏の手のことも水村の恋愛話、秋山安見の怒りも取って付けた感が否めない。坂井もキドニーも登場することなく、なんかすごく期待した最終巻なのに支離滅裂な期待外れだった。北方謙三の趣味であろうけれど、葉巻、ウヰスキー、ヨット、釣りの話がくど過ぎる気がした。蛇足ながら、群秋生は〈約束の街シリーズ〉には不要のキャラクターとしか思えなかった。残念。