浮月堂黄昏抄

風流候・原田浮月堂の花鳥風月な日々

「漢方小説」

No.3980
【今日の1冊】
「漢方小説」

毎日、漢方薬を飲み、鍼灸治療を受けている。30代のサラリーマン時代は健康茶のメーカーに勤務して、代替医療東洋医学の勉強をしていた。
タイトルに惹かれて、中島たい子「漢方小説」を読んでみた。

第28回すばる文学賞受賞作。川波みのり、31歳、脚本家、独身。胃がひっくり返ったようになるのに、眠れないのに、病院に行って検査をすると『特に異状なし』。あのつらさは何? 昔の男が結婚したショックのせい? それとも仕事のストレス? 最終的にたどりついた東洋医学で、生薬の香りに包まれながら、みのりが得たものは。心と体、そして人間関係のバランスを、軽妙なテンポで書き綴る。仕事も、恋愛も、なんとなく疲れちゃった。。大丈夫! そんなときの処方箋。

面白くなかった。タイトルにある漢方(薬)に関しても、恋愛を軸とした人間関係の話も中途半端だ。まるで登場人物の誰にも感情移入できない。すばる文学賞受賞作とも思えないし、芥川賞候補も信じられない。芥川賞は芸術性を持った作品に与えられる賞だが、村田沙耶香コンビニ人間」同様、そうとはとても思えなかった。