浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「罪の余白」

No.3365
【今日の1冊】
スクールカーストの悲劇
「罪の余白」

芦沢央の次作を探していて、Kindle無料の作品があったのだが躊躇していた。躊躇していた理由は、女子高校生によるクラスメートの苛めがテーマだったからだ。おれが一番嫌いなテーマなのだが、あえて読むことにした。芦沢央「罪の余白」である。読了時間は4時間だった。

高校のベランダから転落した加奈の死を、父親の安藤は受け止められずにいた。加奈のクラスメイトだった少女の協力で娘の悩みを知った時、償いを求める戦いが始まった。第3回野性時代フロンティア文学賞受賞作である。

登場人物は5人。よく出来た作品だが、やはり女子高のスクールカーストには嫌悪感しかなかった。おれの高校は男子校だったので、共学だった中学時代を思い返してもみんな仲の良い平和な学生時代だった。しかし男子校、女子校、共学校も今は違うのだろう。少年犯罪も増えている今は未成年も成人同様に裁かれるべきだ。むろん死刑も視野に入れて。「罪の余白」は芦沢央にしてはストレートな小説だ。今まで読んだ作品のようにどんでん返しはなかったが、クラスメートを死に追いやった女子高生の視点もあり、追い詰められていく部分はさすが芦沢央だと思った。
★★★☆☆