浮月堂黄昏抄

風流候・原田浮月堂の花鳥風月な日々

「残照」

No.4024(再)
【今日の1冊】
「残照」

北方謙三の人気のブラディドールシリーズの第7作目「残照」を読む。今回の主人公は、女に逃げられた元サラリーマンだが、この男の生き様がなかなかいい。

自らの生き様を確認するため、下村敬は何も言わず自分の元を去っていった女を追い求め、港町N市にやって来た。そこで癌に蝕まれながらも己を貫く医師・沖田や、この街の酒場『ブラディ・ドール』のオーナー川中、坂井たちと出会う。そして沖田が経営する診療所がある土地の権利を狙う業者と対峙する為、下村は死地へと向った。最期の炎を燃やす男、愛の行く末を追う男、死にゆく男を止められない女。交錯する想い、その先にあるのは光か闇か。大好評シリーズ第七弾。

「残照」は、ちょっと男でないと理解しにくい部分がある。自分の元を去った女を追うのは未練ではなく、自分にとって、この女はなんであったのか、また、自分とは何かを知りたいということだろう。そしてまた川中のグループに、暗い目をした男が加わる。