浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」

No.3279
【今日も1冊】
女性は繊細なのだ
「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」

永くコピーライターをやってきたが、仕事はキャッチコピー(キャッチフレーズ)を作るだけの楽な商売と思われてきた。しかし実際はキャンペーンのプランニングや、書籍のゴーストライターもするし、商品の取扱説明書まで作る。言わばなんでも屋だ。糸井重里林真理子も、古くは開高健もコピーライター出身だ。博報堂のコピーライター出身の尾形真理子の小説「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」は実にいい本だった。

年下男性に片思いする文系女子、不倫に悩む美容マニア、元彼の披露宴スピーチを頼まれる化粧品会社勤務のOL。恋愛下手な彼女たちが訪れるのは、路地裏のセレクトショップ。不思議な魅力のオーナーと一緒に自分を変える運命の一着を探すうちに、誰もが強がりや諦めを捨て素直な気持ちと向き合っていく。「あなたといたい」と「ひとりで平気」を往復する女心を優しく励ましてくれる物語。ルミネの広告コピーから生まれた恋愛小説。

女性コピーライターらしく読みやすく優しい恋愛小説だった。やはり結婚適齢期の女性は、男性と違って繊細で傷つきやすい。草食系男子でなくても、そのあたりの心情がわからなくては恋愛は難しい。結婚適齢期の女性以外に、彼女のいる男性にこそ読まれる作品ではないか。
★★★★★