泉鏡花 外科室

No.2718
【今日の1冊】
純文学はかくあるべし
泉 鏡花「外科室」

高校時代に読んだ泉鏡花の小説「外科室」を40年後の今、再読した。「外科室」は1895年に鏡花が発表した短編小説だ。

舞台は明治期。美しい貴船伯爵夫人は病の治癒の手術を受けるため病院に入る。手術の執刀は若い高峰医師が行う。ここで問題が起こる。伯爵夫人が全身麻酔を拒否し、手術するのなら麻酔なしでやってくれ、と懇願する。
全身麻酔で意識が朦朧とすると、誰にも話してない、死ぬまで明かさない伯爵夫人の<秘め事>を口にしてしまうかも知れない、それを嫌がるのだ。明治期の外科手術は全身麻酔はあっても人工呼吸器はない。寝言的な事は口にするかもしれない。そうして全身麻酔なしの手術が始まり、衝撃的な結末を迎える。

小説「外科室」は病院以外の美しい場面が出てくるのだが、そのあたりが日本の四季を綴る名手・泉鏡花の真骨頂だ。
「外科室」は1992年に吉永小百合主演で映画化されており、監督は五代目坂東玉三郎が務めた。