浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「戦雲の夢」

No.3743
【今日の1冊】
優柔不断な悲劇の武将
「戦雲の夢」

高校時代に、司馬遼太郎作品はほぼ読んだのだが、いくつかの作品は内容を忘れているものがある。そういうわけで「戦雲の夢」を久々に再読した。

土佐22万石の領主・長曾我部盛親は、関ケ原の戦いで西軍に組したため一介の牢人の身に落ちた。蟄居の地を京都に定められた盛親は再起への野望を密かに育み、旧臣五千人とともに大坂夏ノ陣に立ち上がった。大きな器量を持ちながら、乱世の流れに乗れなかった悲運の武将を鮮やかに描く傑作!

長曾我部盛親は、四国全土を支配した長曾我部元親の四男だがその跡を継ぐ。しかしその盛親が戦にも女性にも優柔不断ではっきりしない。唯一評価できるのが、自分のだめな部分を認識していることだ。土佐の領土を失い、牢人となり寺子屋の先生をやりつつ、悩む。最後ぐらいは頑張ってみるか、と大坂城に入る。で、負けるわけだ。

サラリーマン時代、社長の息子数人と仕事をしたが、みんなダメだった。まるで危機感がなく、売り上げ=会社維持という考えがなく、まるでクラブ活動みたいな認識しかない。創業者は立派でも、その息子やはり甘やかされているのだろう。
★★★☆☆