浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「ワンショット ワンキル」

No.3363
【今日も1冊】
骨太の警察小説として
「ワンショット ワンキル」

前回に続いて松浪和夫の警察小説「ワンショット ワンキル」を読んでみた。「警視庁特捜官 魔弾」の続編である。

命令で犯人を射殺した機動隊狙撃手の清水。銃弾に斃(たお)れたのは、尊敬していた教官だった。人を殺めた重圧によるPTSDに苦しむ清水を見た、かつての相棒・刑事の梶原は、次は撃たせてはならないと固く誓う。が、ふたりをあざ笑うかのように、人質籠城事件が発生。再び清水が呼ばれるが、思いもよらぬ鉄壁の要塞に警察は突破口を見出せない。清水は撃てるのか? 梶原は清水が撃つ前に犯人を見事逮捕できるのか。

「魔弾」で、かつての師であり、家族的な付き合いをしていた教官を射殺して精神を病んでいた清水。彼を心配する梶原が、バスジャックに遭遇する。意外にバスは遠距離からの射殺が出来ない鉄の盾らしい。おれ的には前作「魔弾」よりも本作品の方が面白かったし、読みやすかった。相変わらず猟犬・梶原よりも狙撃手・清水の方が頭脳は明晰だし、冷静なのだ。やはり最後まで梶原は熱いのだが判断に迷いちょっと格好が悪い。猟犬というよりは昔の刑事とプロの狙撃手の警察小説として読むべきなんだろう。
★★★☆☆