浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「神様の定食屋」

No.3164
【今日の1冊】
泣ける話ばかりの名作
「神様の定食屋」

GFからすごく泣ける小説がある、とメールが来たので、無料だったのでKindleで3冊読んでみた。中村颯希の「神様の定食屋」だ。

両親を事故で失った高坂哲史は、妹の志穂と共に定食屋「てしをや」を継ぐことになった。ところが料理ができない哲史は、志穂に罵られてばかり。ふと立ち寄った神社で「いっそ誰かに体を乗っ取ってもらって、料理を教えて欲しい」と愚痴をこぼしたところ、なんと神様が現れて、未練を残して死んだ人々の魂を憑依させられてしまった。魂が哲史に料理を教える代わりに、その魂が望む相手に料理を振舞い、未練を解消してやってほしいということらしかった。母から息子へ、店主から常連へ、姑から嫁へ、夫から妻への愛。
料理には誰かの想いがこもっていることを実感する、読んで心が温まる1冊。

実は最初の数ページを読んでやめてしまった。なんかライトノベルっぽかったからだ。しばらくして気が変わって再び読んでみたところ本当に感動する小説だった。
料理素人の哲史が、様々な魂に体を貸して、人と人との繋がりを知り、それから様々なてしをやの常連を作り出して行く。
思い返せば、中学・高校時代のおれはライトノベルコバルト文庫のファンだったんだ。忘れていた。最近のライトノベルも侮れん。
★★★☆☆