原田マハ スイート・ホーム

No.2709
【今日の1冊】
幸せに満ちた北摂小説
原田マハ
「スイート・ホーム」

大阪の北部と兵庫県の宝塚は隣接しており、関西の富裕層はたいてい芦屋かこのあたりに住んでいる。
阪急電鉄が宝塚山手台をテーマにその場所の思い出を一般から募集し、それを元に原田マハが短編集にしたのが本作「スイート・ホーム」(ポプラ社・刊)だ。

舞台になるのは宝塚山手台に設定された洋菓子屋「スイート・ホーム」で、ここの姉妹の恋愛と結婚を軸に、姉、妹、料理教師の女性講師、姉妹の叔母、隣人たち、店の常連の女の受験生の視点で宝塚山手台のライフスタイルが語られる。それをパティシエである姉妹の父が作る繊細で甘いスイーツの香りが彩っているのだ。

読んでいてこれほど幸せな小説は初めてだった。一般からの募集の体験談の小説化とはいえ心が温まる作品だ。
原田マハの作品は初めてだった。小説家・原田宗典の妹で元キュレーターであることは知っていたが、なかなか力量のある人だ。近いうちに直木賞を受賞するに違いない。

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