浮月堂黄昏抄

風流候・原田浮月堂の花鳥風月な日々

「白河夜船」

No.3925
【今日の1冊】
「白河夜船」

エッセイに続いて、吉本ばななの小説を読んでみた。映画で「キッチン」を観てあまりに強烈だったので、タイトルに惹かれて「白河夜船」を読む。

私はたとえ眠っていても、それでも恋人の電話だけはわかる。客と「添い寝」をする仕事をしていた親友のしおり。彼女が死んでから二ヶ月、寺子はなぜか眠くて仕方のない日々を送っていた。人生に訪れる停滞した時、そして始まり。許されぬ恋のせつなさ、一途な愛が起こした奇跡を描く「白河夜船」他、「夜と夜の旅人」「ある体験」の〈眠り三部作〉。

吉本ばなな作品の一貫したテーマは〈死と再生〉だが、おれには吉本ばななの書く〈死と再生〉がビンとこなかった。全作品を読んでないので断定はできないが、なんかライトノベル好きの女子の妄想小説と感じた。〈死と再生〉がテーマなら大崎善生の「パイロットフィッシュ」「アジアンタムブルー」の方が良かった。