浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「池波正太郎の銀座日記」

No.3892
【今日の1冊】
巨匠の美味日記
池波正太郎の銀座日記」

池波正太郎の小説や随筆ばかり読んでいる。池波正太郎の日々の行動を綴った「池波正太郎の銀座日記」はなかなか読み応えがあり面白い。

週に何度となく出かけた街・銀座。少年のころから通いなれたあの店この店。そこで出会った味と映画と人々は、著者の旺盛な創作力の源であった。「銀座日記」は街での出来事を芯にした、ごく簡潔な記述のなかに、作家の日常とそこから導かれる死生観を巧みに浮き彫りにして大好評であった。急逝の2カ月前まで、8年にわたった連載の全てを1冊に収めた文庫オリジナル版。

日記の初めは、銀座などで美味しいものを食べたり、每日のように映画を観ている池波正太郎が、日記後半から最後に近くなると、体調が不良になり、歩くのもきつい部分が出てきて切なくなる。池波正太郎が急逝したのが67歳だから老衰にはまだ早すぎると思っていたら急性白血病だったらしい。だんだんと映画を観に行くのが辛くなり、美味しいものも食べなくなる記載は淋しい。時代小説の巨匠は亡くなっても、池波正太郎の「鬼平犯科帳」「仕掛人藤枝梅安」「剣客商売」は不滅なのだ。
★★★★★