浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「メロドラマ」

No.3256
【今日の1冊】
神戸描写が素晴らしい
「メロドラマ」

20代前半に、映画「メロドラマ」を観た。伊武雅刀がまだそれほど売れてない頃の主演作だった。ハードボイルドものだったのだが、なかなか良かった。しかし原作がまさか村松友視だと思わなかった。

港町・神戸に流れ着き、男ゆえの傷を隠し、キザに生きる謎の男・名倉五郎。その彼を敬愛・崇拝しながらも、やがては追い越そうと狙うチンピラの若者たち。そして、誘蛾灯のような名倉の魅力に惹かれて寄ってくる女たち。名倉をめぐる人物の相関図が次第に暴いてゆく、彼の謎の過去とは何なのか? 美しい神戸を舞台に、人生を踊る男女を洗練された手法で描く都会のサスペンス・ロマン。

ネタバレになってしまうが、名倉はある罪を犯している。その時効を待ちながら、酒に溺れ女に溺れる。その舞台が神戸なのだが、北野異人館街、三宮、モトコー(元町高架下商店街)、六甲が描かれている。東京人の村松友視にしてはなかなか知り尽くした感があり、少し驚いた。
★★★☆☆