浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

回路

No.3157
【今日の映画】
絶望的な映画
「回路」

怪談やホラーの小説や映画を読み尽くし観尽くしたためか、単なる心霊の類いでは反応しないばかりか、食傷気味になってしまった。
清水崇高橋洋の監督作品はもういい。やはりここは黒沢清の「回路」(2000)だ。

観葉植物を販売する会社で同僚の田口が自殺してからというもの、ミチの周辺では身近な人たちが次々と姿を消してしまっていた。
同じ頃、大学生の亮介はパソコンを手に入れる。初めてアクセスしたインターネットで「幽霊に会いたいですか」と、問う奇妙なサイトにアクセスしてしまう。そんな中、ミチの同僚の順子が<あかずの間>と呼ばれる霊界と人間界を繋ぐ空間に足を踏み入れてしまう。順子のそばに寄り添うミチだったが、順子もまたミチの目の前で黒い影を残したまま消えてしまう。
次々と黒い影だけを残して消える人々。世界は徐々に破滅の色合いを濃くしていく。
亮介が同じ大学で思いを寄せていた春江も次第に不可解な行動をとり始める。親しい者たちが消えて日常が崩壊していく中でミチと亮介は出会い、共に逃避しようとする。しかし亮介にも恐怖が降りかかろうとしていたのだが。

「回路」は最後まで救いのない絶望的な映画だ。
黒沢清の映画はすべてがホラーではない。しかし「回路」や「降霊」みたいに、心霊をそのまま扱わずに日常が徐々に崩壊していくあたりが怖いのだ。
映画の初期から役所広司を上手く起用してきたのは黒沢清だ。「回路」での役所広司の出演もラストだけだがやはり存在は半端ない。おれにとって「回路」は邦画ホラーのNo.1なのだ。
★★★★★

【映画予告編】
https://youtu.be/SH2gvVN-C1A

【ハリウッド リメイク版】
https://youtu.be/UeXyCX0f1JQ