浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「別れぬ理由」

No.3064
【今日の1冊】
夫婦生活とは何か
「別れぬ理由」

久しぶりに渡辺淳一の不倫小説「別れぬ理由」を読んでみた。
刊行された1986年、おれが22歳の時に読んで、59歳の今、また読んでみたのだが。

大手病院で整形外科医長を務める速見修平と、彼の妻で雑誌記者として働く房子。 高校生の娘にも手が掛からなくなり、とりたてて不満のない平和な家庭を築いていた夫婦だ。
ある日、修平に愛人がいることが発覚する。 呆然とする房子。しかし房子にもフリーカメラマンの愛人がいた。
内心揺れ動く修平と房子は、お互いの心の裏を読むべく腹の探り合いをするのだが。
修平は房子の浮気に心の底から怒り、房子は修平の浮気に呆れる。自分の浮気は棚に上げて、相手の浮気は許せない。勝手なものだ。
修平と房子が夫婦生活を維持するために結局何を選んだか、が鍵になるのだが。

「別れぬ理由」を初めて読んだ22歳の頃は、互いに愛人がいるのなら夫婦生活を続けなくても良いのにな、と思っていた。
しかし37年経った今読むと、修平と房子の心境もなんとなくわかる気もする。 
結婚しなかったおれに言う資格はないのだが、案外夫婦生活って、そんなものかも知れませんなあ。