浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「ぼくとミセス・ジョーンズの夏」

No.3037
【今日の1冊】
愚かだが爽やかな不倫
「ぼくとミセス・ジョーンズの夏」

「さよならは、カンパリソーダ」に続く喜多嶋隆の本をまたご紹介したい。表紙イラストはおれの好きな巨匠・佐々木悟郎だ。

「長く曲がりくねった道。そんな人生の方が人間的でいいと思うの」と彼女は言った。大学1年の夏休み、湘南の葉山マリーナでバイトしていた僕は、ボートを出せずに困っていた枝里を助ける。親しくすればするほど枝里に惹かれていく。しかし、彼女には米軍将校の夫がいた。

夫や彼氏のいる女性、または妻や彼女のいる男性に人はどうして恋をするのだろう。おれも20代まではそう考えていた。許される恋や愛ではないとわかっているのに逢瀬を重ねる愚かさ。しかし、その過ちの部分が人間の弱さであり魅力だ。
本作はそれを感じさせる青春小説だ。お勧めします。