浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「ウクレレ先生」

No.3341
【今日の1冊】
ウクレレは何のために?
ウクレレ先生」

ブラックな小説ばかり読んでいたので、ちょっと気分転換にKindleの無料ライトノベルで、野間美智子の「ウクレレ先生」を読んでみた。これは書籍になっていないKindle専用の小説だった。

「ルール違反ってことですよね?」主人公である大石靖子が許されない恋の相談をすると、ウクレレ先生はこう答えた。「傷ついていないならいいんですよ。大人の関係ってことですからね」入社して10年以上が経ち、30代後半にさしかかった靖子は、契約社員として旅行会社に勤め安定した生活を送っていた。職場でも年齢相応に頼られ、不倫相手とはつかず離れずの関係。そのことについても、今さら特に大きく不満があるわけではない。しかし、どこか漠然とした不安を抱えている。そんな自分を変えたくて、靖子は古本屋街を抜けた雑居ビルにあるウクレレ教室へ通い始める。

長編小説ではなく中編小説だった。主人公がウクレレを習うことで人生を変える話か、川上弘美の「センセイの鞄」みたいな主人公とウクレレ先生の淡い恋の話かと思っていたのだが違った。ウクレレ先生は話にそれほどの比重はなく、殆んどが主人公の不倫の話だった。結局、不愉快な手段で不倫を終わらせた主人公には感情移入は出来ないし、ウクレレ先生にも魅力はない。読んでも面白くない作品だった。
★☆☆☆☆