浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「彼女が最後に見たものは」

No.3289
【今日の1冊】
なかなか良かった
「彼女が最後に見たものは」

「あの日、君は何をした」がおれ的にイマイチだったので読む気はなかったのだが、Kindleで無料になっていたので、まさきとしかの「彼女が最後に見たものは」を読む。

クリスマスイブの夜、新宿区の空きビルの一階で女性の遺体が発見された。五十代と思われる女性の着衣は乱れ、身元は不明。警視庁捜査一課の三ツ矢秀平と戸塚警察署の田所岳斗は再びコンビを組み、捜査に当たる。そして、女性の指紋が千葉県で男性が刺殺された未解決事件の現場で採取された指紋と一致。名前は松波郁子、ホームレスだったことが判明する。予想外の接点で繋がる二つの不可解な事件の真相とは。彼女はなぜ殺されなければならなかったのか、彼女はなぜホームレスになったのか。誰も知らない真実が明らかになる瞬間、世界が一転する。

アマゾンのレビューでは、前作「あの日、君は何をした」の方を高く、本作を低く評価する声が多々あったけれど、おれはこちらの方が良かった。確かに偶然すぎる箇所はあったし、頭脳明晰すぎる三ツ矢をスパコンかと揶揄する意見もある。しかしシャーロック・ホームズも、小栗蟲太郎の名作「黒死館殺人事件」の法水麟太郎スパコンなみの推理ではなかったか。アマゾンのレビューは2割ほど信じて、実際に読んだ本人が評価したらいいんじゃないか。
★★★☆☆