No.2888
【今日の1冊】
現代社会のアルカディア
「アーミッシュ もう一つのアメリカ」
アーミッシュに関しては40代頃から興味があり、それらの本もいくつか読んだ。最近になり、菅原千代志の「アーミッシュ もう一つのアメリカ」を読んでみた。わかりやすい本だった。
アーミッシュとはある意味で、アメリカに住むネイティブアメリカン(インディアン)と同じ≪もう一つの民族≫かも知れない。正確にはキリスト教プロテスタントの一派でドイツ系移民だ。彼らは現代文明を否定し、電気も電話も車も使用せず生活する。テレビもラジオもない。移動には歩くかバギー(自家製馬車)を利用し、ボタンのない素朴な服を着る。アーミッシュの学校で中学2年までの勉強を終えたら、男子は父の仕事を覚え、女子は母から家事を教わる。アーミッシュではない人の車で事故に遭っても訴訟はしない。
彼らはアーミッシュの住む土地から離れず、都会生活することなく一生を終える。現代社会に生き慣れた我々から見ればアーミッシュの暮らしは不自由に見える。しかしパソコンや携帯電話に縛られた我々が不自由なのであって、彼らは理想郷(アルカディア)で暮らす民族とも思える。ハリソンフォード主演の映画「刑事ジョン・ブック 目撃者」にアーミッシュの暮らしが描かれている。