春、バーニーズで

No.2730
【今日の1冊】
軽くて深い短編集
吉田修一
「春、バーニーズで」

吉田修一の本をまた読んでみる。タイトルに興味があって前から読んでみようと思っていた「春、バーニーズで」だ。
タイトルのバーニーズとはアメリカの高級デパートのバーニーズニューヨークだが、日本には新宿や横浜、神戸にもある。

主人公の筒井は東京郊外の聖蹟桜ヶ丘に住む裕福なサラリーマン。再婚の妻と連れ子の息子と義母の4人暮らしだ。
春のある日、新宿のバーニーズニューヨークに子供の幼稚園入園のための、自分の服を買うために親子3人で来た。ふと見ると、明らかにおかまとわかる男性が若い青年に服を選んでいた。筒井は自分の青年時代にその男性と一緒に暮らしていたことを思い出すが。

短編集なのだが、すべての話の主人公は筒井一家だ。
若い頃におかまと暮らしていたという設定も吉田修一らしいが、通勤時にハンドルを衝動的に逆に切ったために日光に行ってしまい、会社に連絡なしに無断欠勤する話「パーキングエリア」がいい。この短編集も「東京湾景」同様にまた読みたくなるのかもしれないな。