浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「純喫茶トルンカ」

No.3888(再)
【今日の1冊】
泣ける小説
「純喫茶トルンカ

久々に感動する小説を読んだ。普通の人なら泣けるんじゃないか。八木沢里志の佳作「純喫茶トルンカ」だ。

東京・谷中の路地裏にある小さな喫茶店<純喫茶トルンカ>を舞台にした3つの暖かな物語。決まって日曜に現れる謎の女性とアルバイト青年の恋模様。自暴自棄になった中年男性とかつての恋人の娘との短く切ない交流。マスターの娘・雫の不器用な初恋。
コーヒーの芳ばしい香りが静かに立ちのぼってくるような、ほろ苦くて優しい奇跡の物語。

おれのような涙を忘れた人間さえもグッとくる。特に「再会の街」の話がいい。
作者の八木沢里志の作品は映画化もされた「森崎書店の日々」も素晴らしかった。「純喫茶トルンカ」はいずれNHK-BSあたりでドラマ化されるような気がする。続編「しあわせの香り」も秀逸でした。お勧めです。
★★★★★