浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「きみと暮らせば」

No.3095
【今日の1冊】
こんな兄妹の物語
「きみと暮らせば」

以前に紹介した「純喫茶トルンカ」の著者・八木沢里志の作品「きみと暮らせば」はいい。心が暖かくなる。

10年前、陽一の母とユカリの父が結婚し、二人は兄妹になったが、5年前に両親は他界。中学三年のユカリは義母のレシピ帳を参考に料理し、陽一は仕事で生活費を稼ぎ、支え合いながらの二人暮らしをしている。
のんびり屋の兄と、しっかり者の妹が織りなす、陽の光差すような、猫もまどろむほのぼのあったかストーリー。

血の繋がらない兄と妹の同居と言えば、あだち充の漫画「みゆき」だが、本作の陽一とユカリに恋愛感情はない。しかし、自分が紹介した親友の姉に、クラっとなる陽一に少し腹を立てるユカリが可愛いいんだ。
笑えるが暖かく、そして何よりグッとくる。
「純喫茶トルンカ」同様に八木沢里志の真骨頂だ。