浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「滔々と紅」

No.3499
【今日の1冊】
強くブレない主人公に涙
「滔々と紅」

志坂圭の本の3冊目を読む。「沖の権左」「天生の狐」に続き、「滔々と紅」(とうとうとべに)だ。読了時間は4時間。

天保八年、飢饉の村から 9歳の少女・駒乃が人買いによって江戸吉原の大遊郭扇屋へと口入れされる。駒乃は、吉原のしきたりに抗いながらも、手練手管を駆使する人気花魁・艶粧(たおやぎ)へと成長する。忘れられぬ客との出会い、突如訪れる悲劇。苦界・吉原を生き抜いた彼女が最後に下す決断とは。

気の強い田舎娘の駒乃は、源氏名をしのほ、春生、艶粧と変えながらも、駒乃としての生き方と矜持を貫く。ここがグッとくる。地獄だがある程度の生活が保証された花魁としての生活から脱出を図る強さがなかなか感動的だ。さすが、第1回本のサナギ賞の大賞受賞作品だ。志坂圭の本はやはり感動する。
★★★★★