浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「牙」

No.3271
【今日の1冊】
男は牙の有無が問題だ
「牙」

ずっとミステリーばかりだったので、久しぶりに北方謙三を読むことにした。高校3年の頃に十数冊読み、サラリーマン時代に「三國志」と「水滸伝」を読破した。北方謙三私小説「コースアゲイン」、そして未読の「牙」を読む。

ある事件に巻き込まれた石本一幸、19歳。謎の女が残したシガレットケース。その中には巨悪の証拠を示すフィルムが入っていた。そして祖父が襲われ死んだ。死ぬ間際に祖父の残した「牙をなくしちゃなんねえ。いざという時にゃ、牙を向けるのが、男ってもんだ」の言葉を胸に、迫り来る組織の魔手、陰に潜む大物に、一幸の復讐が今始まる。

ラグビー選手で、祖父の植木職人の仕事を継いだ19歳の青年が巨悪に牙を向く。いいなあ、北方謙三作品は。草食系男子も悪くないが、やはり女性を守ったり、ここは譲れないという部分が男には必要だ。還暦近くなって、また北方謙三作品を読めることが嬉しい。
★★★☆☆