浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

仕立て屋の恋

No.3205
【今日の映画】
アブノーマル初級の映画
仕立て屋の恋

小学校4年の頃に変態の人を見たことがある。ショックというよりは、世の中にはこんな人もいるんだなあ、と深く考えた。世間には倒錯した性の趣味の人は意外に多く、おれはノーマルに生きてきたつもりだが、まあアブノーマルな人を理解はできるのかも知れない。
仕立て屋の恋」はそんなアブノーマルの初級編でもある<覗き>の人をテーマにした作品である。監督は名匠パトリス・ルコントの1980年のフランス映画である。

仕立て屋のイールは人との接触を避け、周囲のアパートの住人達から嫌われている変人だ。彼の唯一の楽しみは、向かい側の建物の部屋に引っ越してきた美しい女・アリスの私生活を窓を通して覗き見ることだけだった。
ある日、アパート近くで少女が殺害され、刑事は嫌われ者のイールを容疑者として嗅ぎまわる。しかし、イールは本当の犯人がアリスの婚約者であることを知っていた。イールが窓から自分を観察していたことを知ったアリスは、彼が殺人の真相をどこまで知っているのかを調べようと、自ら接触してくる。それはイールにとって甘く危険な誘惑の始まりだった。

パトリス・ルコントは以前にご紹介した「髪結いの亭主」の監督だが、本作品は仕立て屋だが、ある意味で引きこもり中年の災難と悲劇を描いている。ラストはまあ自業自得だろ的なのだが、やはり人生はなるべくノーマルに生きなあかんねえ、と教訓になる映画だ。
★★★☆☆

https://youtu.be/LIaY7AlBKy8