浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「慟哭」

No.3382
【今日の1冊】
結末は衝撃的なのだが
「慟哭」

かなり昔に読んで、結末もなんとなく覚えていたのだが、とりあえず貫井徳郎の「慟哭」を再読してみた。Kindle302冊目。

痛ましい幼女誘拐事件の続発。難航する捜査。その責めを負って冷徹な捜査一課長も窮地に立たされた。若手キャリアの課長をめぐる警察内部の不協和音,マスコミによる私生活追及。この緊迫した状況下で,新しい展開は始まった! サイドストーリーに,黒魔術を狂信する新興宗教の生態や現代の家族愛を鮮烈に描きつつ,人間内奥の悲痛な叫びを抽出したこの野心作は,北村薫氏をして,書き振りは《練達》,読み終えてみれば《仰天》,と驚嘆させた,巧緻この上ない本格推理。

本筋は少しだが覚えていたのだが、サイドストーリーの新興宗教の部分はすっかり忘れていた。幼女誘拐殺人事件に難航する捜査一課長の視点と、その犯人と思われる新興宗教に傾倒する男の視点が交差する。結末を覚えていなかったら驚愕したのだろうが、その部分は少し残念だった。しかし貫井徳郎の作品は時間軸のどんでん返しと救いのない話が多く、少し辟易する部分もあります。
★★★☆☆