「殉狂者」

No.2954
【今日の1冊】
テロリストの悲哀
「殉狂者」

立て続けに馳星周の暗黒小説を読んでいる。「アンタッチャブル」「殺しの許可証」も良かったが、「殉狂者」が最高だった。

1971年、スペインとフランスの国境地帯バスク。この地でフランコ政権からの独立を目指し武力闘争を続ける過激派組織ETA日本赤軍メンバー吉岡良輝(通称ワルテル)が合流した。政府から存在を知られていない異邦人は組織の切り札となり、ワルテルは首相暗殺テロに身を投じる。しかしETAには裏切り者が潜り込んでいた。<政府の犬>の正体をワルテルは突き止めることができるのか。
舞台はワルテルの活動する1975年と、ワルテルとETAの女闘士マリアの間にできた息子アイトールが裏切り者に殺された父親の死の真実と失踪したマリアを探す2005年が同時進行する。

ラスト10ページで裏切り者の正体が発覚する。1975年も2005年も愛しい仲間たちが次々と死んで行く。最高の小説なのだが、読んだ後の喪失感も大きい。