浮月堂黄昏抄

風流なライフスタイルのために

「荒地の恋」

No.2835
【今日の1冊】
詩人は奔放なのだ
ねじめ正一荒地の恋

久しぶりにねじめ正一の「荒地の恋」をKindleで再読した。この作品は2007年刊行で第3回中央公論文芸賞を受賞した。

新聞社の校閲部に勤める53歳の詩人の北村太郎が、親友の田村隆一の妻・明子と恋に落ちた時、彼らの地獄は始まった。詩神と酒神に愛された天才詩人・田村隆一。感受性の強いその妻・明子。太郎は明子に出会って家庭も職場も捨てる。依存心の強い田村隆一はそれを許しながら、太郎と明子を真綿で首を絞めるように徐々に苦しめてゆく。
本作品は実話だけにリアリティがある。内向的と思われがちな詩人の恋愛は実は奔放で、それは日本も海外も変わらないのだ。

荒地の恋」はWOWOWでドラマ化されており、北村太郎豊川悦司、明子を鈴木京香、精神に異常をきたす太郎の妻の治子を富田靖子田村隆一松重豊が演じた。